徹底防災マニュアル

巨大地震! に身構える

永久保存版 徹底防災ハンドブック

防災対策委員会編 vol.1  2012年版

地震が起きたら

がっしりと、ミッドの環で。

≪みなとみらいミッドスクエア防災対策委員会≫

日本が世界に先駆けて「地震学」を立ち上げたのは130年ほど前。横浜地震(M5.8)がきっかけでした。しかし、実証が難しい分野だけに解明は遠く、いまだに「予知」はもとより「発生のメカニズム」さえ分かったとは言えないのが現実です。
そして“あの日”(東日本大震災)以来、にわかに進められているのが「研究法と対策の見直し」。これまで手つかずだった火山噴火も含め、国はゼロから洗い直しているところです。
神奈川県や横浜市など自治体も例外ではありません。すべてがまとまるのはしばらく先の話でしょう。
だからといって手をこまぬくわけにはいきません。地球上の地震の10%は日本列島に集中しているという事実があります。きょう、不意撃ちされても不思議ではないのです。

 

そこで私たちはどうするか。はっきりしていることは一つ、《みんなで“身構える’》― 。
建物の倒壊が特に多かった阪神淡路大震災の被災者たちが、いまも思いを込めて話すデータがあります。)私はつぶれた家々の下敷きになっている人たちを目撃した(46%)>そして救出にあたったのは(自分を含め)ご近所のみなさんだった(61%)>家族だった(19%)=神戸市市民行動調査から。
ミッドスクエアでも、(1)各戸それぞれが日頃の備えを怠らない。(2)いざとなつたら、近所隣り同士助け合って“迎え撃つ”。
そんな「姿勢」がなにより大事と考えます。
そのために参考になりそうな情報のあれこれを、このマンションの場合に絞つてまとめました。
ぜひ、ご活用ください。

避難所は「わが家」です

■「M9・震度7」も覚悟しよう

マグニチュード(M)9.0、震度7ーー。東日本大震災は「日本最大、世界で4番目」という途方もない規模で襲ってきました。先の地震学会では「もはや(世界に観測例がない)M10も否定できないのでは」との声も上がったそうですが、いつ、どこに、どんな規模で起きるか、 まったく読めないのが地震です。
先例が“巨大(M8以上)”である以上、同じ規模の再来も十分ありうると考えるのが自然です。

■ミッドスクエアは骨太

ミッドスクエアは、たとえ「震度6~7」級の地震が来ても倒壊や崩壊はせず、損傷はあっても軽微で済む姿が求められ、造られています(新耐震設計基準)。
私たちが経験済みなのは3・11の際の震度5強(横浜市西区の場合)ですが、設計・施上に関わってきた専門家はこう言います。「あの程度の揺れでは構造体としては何のダメージも受けません。MM地区では優れて堅牢なビルであることが改めて確かめられました。強力な免震装置としっかり築いた基盤の効果でしよう」。
また著名な建築家の隈研吾さんも、ある対談の中で「ダメージは、建物の固有振動、地面の固有振動、地震波の震動数の3つの相関で決まります。現在の日本の構造設計法はそれらのどの組み合わせになっても十分な耐震性があるよう安全率が高めに設定されているのです。超高層は揺れるけれど、それでも壊れないようになっていますよ」と評価しています。

■ “究極”の避難所

「震度7」は気象庁が定めた震度階級の最大値で、《人は動けず、翻弄されて飛ばされることもある》激震です。また鉄筋コンクリートの建物の場合は《1階や中間階での変型や、まれに傾くものもある》とされていますが、免震型超高層マンンョンなど新しい建造物の場合はまだ規定されていません。「いずれ定まるでしょうが、雑談として私見を言うならかなり安全度が盛られるのでは」(気象庁地震津波監視課)という話です。こうしてみても、外部への避難は原則無用です、「わが家」に勝る避難所はないのですから。

 

 

マグニチュードと震度

マグニチュードは地震エネルギーの「大きさ」を言い、数種ありますが、国際的には金森博雄カリフォルニアエ科大名誉教授らが考案した(1979年)計算式によるモーメントマグニチュード(正しくはMw。一般的にはMで表す)が主流です。日本では長年、気象庁マグニチュード(Mj)で通してきましたが、規模が大きくなると数値の頭打ち(飽和)から正しい計測ができず、東日本人震災でも2度修正し、最終的にはMwにより算出しました。一方、震度は日本独自のもので「揺れの強さ」を表し、0~ 7の10段階(うち5、6はそれぞれ強弱2段階)あります。阪神淡路大震災後に地震計が開発(1996年)されるまでは「体感」で決めていました。

 

ミッドの免震装置

建物の底部と基礎の間に、大小8種類計81基据えられています=写真。天然ゴムと鉛を組み合わせた積層緩衝型とダンパー型が主で、自在に変型しながら地面の揺れを吸収、3分の1~ 5分の1に弱めて建物へ伝えます。

 

地盤固め

地中の固い支持基盤までは約20m、 この間に138本の極太コンクリート枕(先端は直径4mの拡底型)が「現場打ち」されています。周辺の地盤も土ではなく石灰やセメントで固める化学的土地改良(深層混合処理工法)がほどこしてあり、液状化の心配もないといいます。

 

70cm

お気づきでしたか?1階のウインドウのいくつかにあるこの表示=写真。免震装置は地震を吸収するとき、ある程度揺れに従いながら水平移動します。それにつれて建物自体も動くので”運動場”が必要なわけですが、 ミッドスクエアの場合はそれを直径70 cm分も設けてあるのです。3・11では北西と南束を結ぶ方向で最大16㎝の運動が記録されただけでした。

 

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「強いわが家」に仕立てる

 

なにしろ“テレビが水平に飛ぶ!”というのです。建物に違いはあるにしても「震度7」級は7級。恐怖感を伴うものになるかもしれません。それだけに、「家財道具の固定」にはぬかりなく手を打っておきたいものです。あちらからこちらから智恵と経験の“妙案”を教えられました。

《家財の固定法あれこれ》

▶やっぱり「L字型の金具止め」がいいと思うが、素人には難しいので大工さんに依頼しました。タンスとサイドボード、テレビ、冷蔵庫の4点で13,000円程度でした。(地震学者のF教授)

▶ぎっしり詰め物をしたダンボール箱で大井と家具との空間を隙間なく埋めましたよ.思った以|■に確りしてます。(地震学者のN教授))

▶いや、革命的に変わってきました」釘止めでもクノにつ張り棒でもない、 1寺
殊強粘着材(ゲル)と高強度合成樹|1旨材を組みハヽわせた・1妥続器具(「ガムロック」など)」が売れています=壁と家具の両方に貼り付けてただつなぐだけですが、強力なことこの11ない.ビアノ、タンス、書棚、
冷蔵庫などの大物小物に広く対応し、付けイヽプ)えも簡単.洗っても5年は持ちますじね (大手ホームセンター長)

▶困るのは家具や壁に穴を開けられない、開けたくないケースです.その点、お勧めのスグレものが「粘着系の転倒防止器具やマッ|ヽ類」=それぞれが高い機能性を持った樹脂類と粘着材を素材にしていて、合わないのは布製品、フソ素、シリコン製品ぐらいです.ていねいにさえやれば、口占ってはがすのも簡単で、綺麗に、 しかも繰り返し使え、 ビニールクロスなど壁紙類も傷めませんよ。
種類は豊富で「震度7対応」をうたったものもありますこ守りたいものの荷重に合わせ、的確な数を使用してください_タンスなどの大物はこれで上部を止め、下イ則に足下安定板(合成樹脂製)かダンボールをかませる「2点止め」がいいですね。
突っ張り棒も軽視できません。気になるのは見栄えですが、棒の部分に造花を通わせるとかお気に入りの紙を貼った空箱を置くなどインテリア感覚で楽しむことです。
すべてを一度にやろうと思うと気が重くなります。まず寝室から手を付けて、あとは倒れやすい本棚→食器棚→タンスといった順で少しずつやっていくことです。(住まいのアドバイザー、 1級建築士の井上恵子さん)

▶棚という棚の扉にストッパーを。これは必須。特に食器棚が↑41いのだ。観音開きなら両方の取っ手をまとめて上側からただ差し込むだけの式、片扉ならラッチ式がいい。サイドボードや書棚、食器棚などに使われているガラス類には「飛散防止フィルム」を隅々までぴったり張る。割れたら最後、それからの行動の大障害になるのだから。(阪神淡路大震災の被災者ブログ)

▶重い物ほど下に置く―これは鉄則.食器棚だったら陶器やガラス製の重い物を、本棚なら百科事典や全集をっ徹底して重心を下げることです。またタンス類は余震に備えて一番下の引き出しを開けたままにしておく。それが働いて倒れなくするはずです。(総務省消防庁)

《習慣づけも大事》

▶揺れが収まった後、面倒なトラブルのもとになるのが洗濯機。全自動機の水道ホースが外れて下の階一帯へひどい迷惑をかけるケースがあちこちの震災地で続出しました。こまめに蛇口を開める習慣づけをしましょう。
(防災士、福祉住環境コーディネーター、山下千佳さん)

▶厚底の「室内lf夏き(あるいはスニーカー、ゴム11長の靴など)」、それから「眼鏡と薬」は常に身の回りに確保する。予備の眼鏡と貴重品を下駄箱の中にしまっておくのも賢いね。(阪神淡路大震災の被災者)

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